お気に入りの映画、音楽、本の紹介。 なるべく毎日更新。 見てもらえたらウレシイっす。
SWEET SIXTEEN

作品が公開されると前評判の善し悪しとは関係なしに観ることにしている映画監督がいる。エミール・クストリッツァ、ダニー・ボイル、ウェス・アンダーソン・・・そして、ケン・ローチ。
ケン・ローチはイギリスにおける労働者階級や移民の直面している問題とイギリスが抱える病巣を鋭くえぐりだし、観る者に提示する。彼の作品からは常に人間の血を感じさせる。大量の血ではない。一滴、一滴絞りだすように滴り落ちる血と、やるせなさだ。

15歳のリアムの夢は16歳の誕生日の前日に出所することになっている母のジーンと一緒に暮らすことだった。ある日リアムは親友のピンボールとともにジーンの恋人スタンからヤクを盗み出し売りさばく。ヤクが金になることを知ったリアムは「真面目な売人」となり、次第に頭角を現し、組織からの信用を得てゆく。ただひとつ『母さんと一緒に暮らす』そのことだけを胸にその身を落としてゆく・・・

15歳で学校にも行かず、パブでタバコを売り歩き小遣いを稼いでいる悪ガキのリアムとピンボール、そんな弟を心配しつつも自らシングルマザーで今の境遇を必死で抜け出そうとしている姉のシャンテル、息子を愛しつつも、ろくでなしの恋人への依存を断ち切れないジーン・・・そしてドラッグという存在の軽さ。それらを観ているとやるせなさがこみ上げてくる『ほかにどうしようがあった!?』やるせないだけに、ラストのシャンテルのセリフにひとすじの救いを感じる。

観た後はまさに“心がヒリヒリする”

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僕たちのアナ・バナナ

子供の頃、ジェイク、ブライアン、アナの三人はいつも一緒だった。おてんば娘のアナを中心に固い友情で結ばれていた三人だったが、アナの引越しを契機に三人はそれぞれの道を歩き始めることになる。時は流れて、ジェイクとブライアンはそれぞれの夢を叶えジェイクはユダヤ教のラビに、ブライアンはカトリックの神父になっていた。そんなある日ブライアンはアナがNYに帰ってくるという知らせを受ける。『僕たちのアナが帰ってくる!!』美しく成長したアナを一目見て二人は恋に落ちるが、ラビであるジェイクは結婚する相手はユダヤ教徒と決められており、神父のブライアンに至っては結婚それ自体が禁じられている・・・二人の悪戦苦闘が始まった。

“アメリカンヒストリーX”、“ファイトクラブ”などその役に合わせて変幻自在の風貌を漂わせるエドワード・ノートン、“ザ・ロイヤル・テネンバウムズ”、“ズーランダー”などアクの強い役を演じさせたら驚異的な存在感を放つ〔ワルノリの境地〕ベン・スティラー、そしてTVシリーズ“ふたりは最高ダーマ&グレッグ”でコメディエンヌとしての才能を如何なく発揮したジェナ・エルフマン。
この三人が集まったんだから面白くないはずがない。アナはキュートだし、まるで反対の性格のジェイクとブライアンのドタバタからは王道の笑いが染み出ている。キング・オブ・ラブコメ!!軽〜いノリで爆笑しましょう!!

ちなみにジェナ・エルフマンの叔父、ダニー・エルフマンはバートン作品のほとんどの音楽を手がけた作曲家でティム・バートンにとっては正に盟友といえる存在。

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スカーフェイス ― コレクターズ・エディション

1980年キューバ政府は反カストロ主義者達を政治犯としてアメリカへ追放した。国を追われた人々の中にはそうした政治犯のほかにも罪を犯した前科者なども含まれていた。その前科者の群れにトニー・モンタナの姿があった。トニーはアメリカでチンピラとしてその日暮らしをしながらも持ち前の胆力を武器に裏社会でのし上がり、遂にはコカインの一大帝国を築き上げる。しかし彼の栄華もそう長いものではなかった・・・

“エニー・ギブン・サンデー”や“ヒート”を観たときもそうだった。アル・パチーノはその小さな体をふんぞり返らせ、白い歯を剥き出しにして怒鳴り散らす姿が絵になる。この作品でもトニーが多勢に無勢の中一人マシンガンを抱え撃ちまくるシーンはさながらネコ科の肉食獣。文句なしにカッコいい。“レザボア・ドッグス”でアンダーカバーとして強盗一味に潜入した『鋼鉄の心臓を持つ男』オレンジ、“ライト・スタッフ”の一人孤独にスピードの限界に挑戦し続ける『真のライト・スタッフ』チャック・イェーガーと並んで私の中では映画史に残るシビレる男、それがこのトニー・モンタナなのです。
でも、この作品を観たきっかけはアル・パチーノがカッコいいら・・・というわけではなく、“ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ”の『スカーフェイスを観ろ、ヤクの取引がよく分かる』というセリフが気になって観たのでしたw長尺ではありますが、一見の価値はアリかと。

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あの頃ペニー・レインと

本当に久々の更新です。しかも映画wブログタイトルが“映画礼賛”でありながら映画のブログは8月1日の“フィッシャー・キング”以来初という体たらくでございます。
ここしばらく何故かあまり映画を観る気になれなかったものので・・・しかしここにきて“映画観たい熱”みたいなものがふつふつと湧き上がってまいりました。今まで観ようと思って溜まりに溜まっていた映画をガシガシと消化していこうと思っています。その一発目はこの映画。

厳格な大学教授の母を持つ家庭に育ったウィリアムは家出した姉の残したロックンロールのアルバムに次第に心を奪われてゆくようになる。クリーム誌の記事がローリング・ストーン誌の編集者に認められ、売出し中のバンド“スティル・ウォーター”の記事を書くためバンドのツアーに同行取材することになった15歳のウィリアムはバンドのグルーピーのリーダー、ペニー・レインと出会う・・・

セックス・ドラッグ・ロックンロールという言葉の通りロックには小悪魔的で妖艶でありながら、幼さを残したペニーのような美少女がよく似合う。ドラッグを賛美する気はないがLSD、スピードといったドラッグもまた然り(この作品にはあまりドラッグの“匂い”は感じませんでしたが)
毎夜繰り広げられるパーティ、バンドメンバーとセックスに明け暮れるグルーピーの少女達、ペニーの夢物語のような話、そしてペニーという名前以外何も知らない(それすらも偽名)心を奪われつつある少女。押し寄せる現実感を伴わない現実の中でウィリアムの“現実って何だ?”と思い悩む姿が15歳のローリング・ストーン誌の寄稿者というこれまた夢のような現実の設定の中でふと少年らしさを覗かせていて好印象。観終えてみれば清々しさすら感じる秀作。

少年らしさといえば、ツアーでNYに辿りついたウィリアムがタクシーの群れの中ペニーを探すあの
ばたばたした走り方は相当子供っぽいですねw

この作品は16歳でローリングストーン誌の寄稿者となった監督キャメロン・クロウの自伝的作品なわけですが・・・まず16歳でそんなことが出来てしまうアメリカの社会的土壌というか、“モノが良ければ歳なんか関係ないぜ!?”的な実力主義にスゲーなーと思ってしまったりw

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アルジャジーラ 報道の戦争すべてを敵に回したテレビ局の果てしなき闘い

アルジャジーラというTV局がある。アメリカのアフガニスタン侵攻、イラク戦争、オサマ・ビン・ラディンなど中東のニュースになると必ずといっていいほど耳にすることになるTV局だ。アルジャジーラが何かを知らなくても、その名前を聞いたことがない人はいないだろう。では、数ある中東のTV局の中でなぜアルジャジーラだけが中東より遠く離れた極東の日本でもその名前を知られているのか?アルジャジーラとは一体何なのか?この本を読んだのはそんな率直な疑問からでした。

アルジャジーラの歴史は驚くほど浅く、1996年カタール首長より1億3700万ドルの資金提供を受け、中東の小国カタールのドーハに本部を構えるTV局として誕生した。当時の中東のTV局は完全に情報相の管理下に置かれ、事実を自国の都合のいいように歪曲して放送する、あるいは権力者を称える映像を流すなど完全に政府のプロパガンダ手段のひとつとして存在していた。しかし青年時代をヨーロッパの高度な教育を受けて育った現カタール首長は公正な報道の重要性というものを認識した識者であった。
自ら1億3700万ドルという大金を出資(1939年に原油が発見され産油国となったカタールは非常に豊かな国で、それが生み出すオイルマネーは莫大)しておきながらアルジャジーラと「カタール首長の介入を受けない独立した放送局として運営され、万一その独立が損なわれた場合には、編集局スタッフ全員が辞職する」という合意をしていることからも現カタール首長が前首長、そして多くのアラブ諸国のように保守的ではなく、開かれた政治を行っていることが窺える。
そのようにして誕生したアルジャジーラのモットーは“ひとつの意見があれば、また別の意見がある”だ。政府のプロパガンダとしての役割しか与えられていなかった当時のアラブ世界のTVにあってアルジャジーラの敵対する二国の主張の放送、司会者の歯に衣着せぬ発言、活発な意見が交換される討論番組は人々を熱狂させ、TVに釘付けにした。オサマ・ビン・ラディンやアルカイダが他のTV局ではなくアルジャジーラにテープを送り続けた理由もその視聴者の多さとともにアルジャジーラが事実を歪めず、どんな内容であってもそこにニュース価値があれば必ず放送する唯一のTV局であることを知っていらからに他ならない。

しかし、それ故にアルジャジーラには敵が多い。放送で貶された国からは支局閉鎖、大使召還、国交断絶の嵐。リビアの最高権力者カダフィ大佐は放送を止めるために首都に大停電を起こした。アメリカはアルジャジーラはアルカイダ組織と繋がりがある(例によって証拠は提示されていない)としてアルジャジーラのカブール支局に2個の500ポンド爆弾を投下、爆破(!)している。また、イラク戦争時にはバグダット陥落後、またもアメリカ軍により支局にミサイルが打ち込まれた(!!)この攻撃では記者一人が命を落としている。アメリカ軍の主張は“支局方面より敵の激しい攻撃に晒されたための反撃。”しかし、アルジャジーラは安全のため事前にアメリカ軍に支局の正確な座標を知らせていたという・・・

このようにアルジャジーラの立場は非常に厳しいと言わざるをえない(アラブ世界の広告業界を牛耳っているサウジアラビアはアルジャジーラをすこぶる嫌っているため、アルジャジーラは主要な広告主を見つけられないでいる。このためこれだけの知名度、視聴者を持ちながらも2004年の段階でアルジャジーラはいまだに赤字である・・・)しかし、彼らはニュース価値のあるすべての意見を放送することを止めようとはしないし、アメリカ政府から圧力をかけられてもカタール政府は公正な報道を害うようなことはしていない。

アメリカのタブロイド誌ニューズデイの見出しこそがアルジャジーラへの最大の賛辞であるように思う。
“最も優れた戦争報道を行っていたのはどこかって?アルジャジーラを観てごらん”

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